2025年9月
皆さんに是非読んでいただきたいと思う本をご紹介したいと思います。
福地毅彦氏による、博物画家の伊藤熊太郎の実像に迫る渾身のドキュメンタリーです。著者が偶然手に入れた金魚図譜から始まり、その作者を特定するためのストーリー、伊藤熊太郎であろうとの推定からのその画家へのアプローチ。ワクワクドキドキのサスペンス小説のごとき展開が始まります。
実は伊藤熊太郎はこのホームページのコレクション内の博物画の中で取り上げたことがありました。私は伊藤熊太郎のことなど知る由もなく、ただ上手な画家だな、くらいでしたが、そのことで著者自らが私の所まで本の確認に訪ねて来られました。その件も本文中に触れられています。本当にそのバイタリティには恐れ入ります。私の本は新たな知見をもたらすわけでもなく、かえってご迷惑になっただけのようですが、私は今では手に入りにくいという伊藤熊太郎の本を二冊も持っていることが分かり、ちょっと嬉しい今日この頃です。
私を博物画の沼に落とし入れた、荒俣宏氏の序文も黎明期の日本の水産学を知るうえで興味深いものです。山と渓谷社からの出版です。是非ご一読を。図書館ではなく書店での御購入をお願いいたしますm(__)m