2018年11月
植野記念美術館 ミュシャ展
北近畿豊岡道を北上、氷上インターを過ぎてまもなく、左手に場違いな豪壮な石造りの建造物が見えてきます。初めて見たときは果たして何の建物かといぶかったものです。後日その建物が今回ご紹介する丹波市立植野記念美術館と知ることとなります。
植野と冠しているように、当地出身の植野藤次郎が当時の氷上町に寄贈し、その後町村合併により丹波市立となった美術館なのです。実業家としての植野藤次郎についてはネット等で調べてください。
さて、今回はその植野記念美術館でミュシャ展を開催しているとのことで、ミュシャ好きな私としては避けては通れません。早速覗いて来ました。
石段を登り、入口を入ると、外見だけではなく内部も立派な作りになっていることに、驚きました。展示スペースは3、4階とのことで、エレベーターで3階へ上がる。展示室は3階に3室、4階に2室。それほど大きな部屋ではないが、年寄りにはちょうどいいスペースである。ミュシャの学生時代から年代を追って、素描や写真などを含め、展示されていく。
もちろん、ミュシャの代名詞である、四季を初めとする装飾パネルの連作も見逃せません。サラ・ベルナールとの劇場公演ポスター、商業ポスター等のリトグラフ群はお決まりとはいえ、無くてはなりません。そして、最後の部屋には油彩画の「エリシュカ」の少女像が「見に来た甲斐はあったでしょ。」たたずんでいます。
今回の展示品はミュシャの祖国であるチェコスロバキアの医師チマル氏のコレクションからとのこと。大阪堺のミュシャミュージアムで満足などと言わずに、一味違いますよ。
今年(2018)の12月24日まで開催中です。ミュシャファンの皆様、ぜひ見に来てください。
最後に、私のミュシャ愛のコレクションをm(__)m
左「植野記念美術館の正面」、右「ミュシャ展のポスター」
「あのフィギュアの海洋堂が四季を立体モデルにしてしまった傑作!?」
「ミュシャがデザインしたプラハ城の切手」
「切手の左下のミュシャのサイン
独立した祖国への平和と愛の印が入っている
」
2018年8月
オオサンショウウオ
世界最大の両生類。特別天然記念物。その名前はあまりに有名で、知らない人はいないと思います。また、その姿も水族館などではおなじみだとは思います。
さて、ここ丹波でも市内を貫き流れる加古川水系にはオオサンショウウオが生息していることは知られています。しかし、夜行性のオオサンショウウオを夜、蚊やブヨと戦いながら川に入って探そうとは思いませんし、ましてや特別天然記念物。そんな希少生物が簡単に見つかるとも思っていません。ところが、一昨年の夏、橋の上から、何気なく魚か亀かいないかなと、覗いていると、少し離れた護岸の石組みの脇をゆっくりと歩き、護岸の下へ入っていくオオサンショウウオを目撃してしまいました。やけに赤みを帯びた巨体だけが目に鮮烈に焼き付きました。「真っ昼間に出てくることもあるんだ。」というのがその時の印象で、写真に撮ることが出来なかったことが悔やまれます。
その後、ことあるたびに橋の上から覗くのですが、姿を見ることはなく、去年の大雨で護岸の下の隙間も埋まってしまいました。
今年に入り、市川水系のオオサンショウウオの保護活動をしている方とお話しする機会があり、夏場には産卵期を控え、行動が活発になり昼間にも現れることがあるとのことでした。そこで、夜間はつらいので、昼間、ちょこちょこ川沿いを歩いてみることにしました。
そして、ついに奇跡の瞬間がやって来ました。コンクリートの瓦礫の上から、川を覗き込んだ瞬間、息継ぎなのかオオサンショウウオの巨大な頭が水面に現れたのです。空気の抜けたバスケットのボールのような、一瞬、生き物とは思えない頭は、気を取り直して、携帯のカメラを起動する間に水面下に姿を消し去りました。
スイッチが入りました。意地でも写真に撮らねばと。姿を消したコンクリートの瓦礫を見下ろせる橋の上への日参が始まりました。橋の上からなら、夜間でも大丈夫。すぐに、頭を少し出した姿を撮ることができました。大きさを推定するにはと、瓦礫の鉄筋の幅を測って見ました。しかし、頭の大きさが分かっても、やはり全体が知りたい。
そして、やっと撮影に成功しました。片手で懐中電灯を照らし、もう一方でカメラを操作する、しかも結構望遠なのでピンボケはお許しを。臨場感があっていいのでは。
わがシャングリラのお膝元に、特別天然記念物のオオサンショウウオが生息している。なにか誇らしげな気がしている今日この頃です。
ちなみに、私は、このオオサンショウウオの全長を75㎝位かなと推定しています。
皆さんも推測してみてください。
夜の川を悠然と行く姿は、ゆうにメーター越えには見えますが。
左「巣穴から頭を出したところ(夜間)」、右「同(昼間)」
左「大きさの目安」、右「全体を現した姿(夜、10時頃)」
2018年6月
クリンソウの群落
去年、ヒメボタルの観察会に参加した際、近くにクリンソウの群落があることを知り、一度行ってみたいと思っていました。
5月の末の晴れ間を見て、訪れてみました。粟鹿山への登山道の途中を脇道に入ったところにあり、解説版、案内表示もあり期待が膨らみます。
自生地の表示を過ぎ、登っていくとロープ柵の内側に点々とクリンソウが咲いています。さて、いよいよ大群落が現れるのかと期待が膨らみましたが、多少まとまって咲いているところもありましたが、終わってしまいました。これでは、訪れる人も少ない(当日は平日で出会う人は無し)のは致し方ありません。地元の人々が整備に力を入れているのが分かるだけに残念です。解説文によると、クリンソウはその自身の持つ成分に、シカの忌避物質が含まれていて、鹿の食害からは免れているそうです。早く大群落になって、地元に貢献してくれることを願います。
ちなみに、ここ丹波のクリンソウの花のピークは5月の初めから、中旬ごろかもしれません。私は少し遅かったようで、花穂の先端部にしか花が残っていませんでした。
登山道まで戻ってくると、大きなオオバアサガラの木が満開の花を咲かせてくれていました。感謝!!
左「自生地の入口」、右「道の崖沿いに群落が続く」
左「自生地の手前にも小群落」、右「クリンソウの花」
左「オオバアサガラ」、右「オオバアサガラの花」
2018年3月
子午線の通る町
丹波市は東経135度、日本標準時子午線が通っている町なのです。子午線の町と言えば明石市が有名で、教科書でも習った記憶があります。明石市の北方に位置する丹波市にも通っていて何の不思議もないのですが、写真のような立派(?)なモニュメントがあるのを最近知りました。東経135度、北緯35度15分。
丹波市の南に隣接するのが西脇市、そうです、北緯15分だけ南に下がったところの東経135度、北緯35度の交差点が西脇市にあるのです。西脇市はここを「日本のへそ」と呼び、立派(!)なへそ公園が整備されています。
今回はお隣の市でもありますので、少しご紹介をしたいと思います。
JR西日本の加古川線にある「日本へそ公園駅」という駅から出発。駅舎のタイルモザイクにも見事に経度、緯度線が交差している。そして、その駅舎の北側に大正10年に陸軍によって計測された経緯度交差点が記念碑と共に設置されています。基準点を示す石標とそれを囲む石枠がズレて居るのが、無性に気持ち悪いのは私だけだろうか。
そこから、駅に戻り、東の丘を登ったところにへそ公園の中心がある。有料の科学館などもありますが、今回はスルーして小高い山のへそモニュメントへ。大きな四本の柱が立つモニュメントの中心が、現代のGPS測量で計測した経緯度交差点なのだそうだ。大正時代の測量地点とは400m余りの誤差だという。これを小さいとみるか、大きいとみるかは意見の分かれるところとは思います。ちなみに私は結構大きいなと思いますけど。
自然あふれる中にあるへそ公園。一度訪れる価値はあるかも。時期が合えばギフチョウにも会えるかも。ちなみに、横を流れる加古川にかかる橋の名が緯度橋。こうゆうの私好きです。
「丹波市にあるモニュメント」
「駅舎のモザイク画」
左「記念碑」、右「経緯度交差点標」
左「経緯度モニュメント」、右「現在の経緯度交差点」